サポ掲示板で出会ったanimate objects

サポ掲示板で出会ったH美の場合

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たくさんの出会いがありましたが、その中でも指折りに良い思い出になっているのが、H美との出会いです。

もう5年も前になるでしょうか。
ある暑い夏の昼下がり、私はふと、いつも使用している掲示板をなんの気なしに開きました。
そこにH美がいました。
「24歳、H美と申します。本日お会いできる方はいらっしゃいますか?」
私もその日は仕事が休みで、H美の書き込みにあった地域に住んでいましたので、特に悩むことなく気楽にメールを送信しました。
ほどなくして返信があり、数度のやり取りでお互いの条件を確認したあと、私の自宅から車で20分ほど移動した駅前のロータリーに私が迎えに行く形で、待ち合わせることになりました。

目的地に15分ほど早めに着き、軽く身だしなみを確認したあと、H美に車の特徴を送信しました。
すぐに返信があり、もう駅には到着しているのですぐ探しに来るとのことでした。
数分も待たないうちに助手席の窓が叩かれました。
私は運転席から手を伸ばし、助手席のドアを開きました。

「お待たせしてすみません」
ドアの隙間から、ふわりと女性特有の香りが吹き込んできました。
正直に申しますと、掲示板での出会いに私は全くこれといった大きな期待を抱いてはいません。
ですがH美は、そんな私の目を一瞬で釘付けにしました。
少し微笑んだ美しい形の唇。
絹のように柔らかな、セミロングの黒髪。
けして派手すぎず、彼女の白い肌を浮かび上がらせるような、サマーワンピース。
私が遠い昔に望んだような、清楚そのものの女性がそこにいました。
(どうして、こんな子が。)
私はきっと、数秒の間様々な思いに囚われ動きを失っていたことでしょう。
「あ、ああ、こちらが早く来てしまったので気にしないでください。
どうぞどうぞ。」
彼女は戸惑う私に導かれるまま、「失礼します」と微笑み、助手席へと腰を下ろしました。
私は、少年の初恋のように揺れる心を抑え、車を発信させました。

話していて驚いたのが、彼女の知性です。
まだ若い女性であるにも関わらず、こちらの会話を外すことなく、的確に返答を返してきます。
そこにけして私を不快にさせる要素はありませんでした。
「なんだかごめんなさい、こんなに冴えない男で。」
私が苦笑いを浮かべそう言うと、
「いいえ、とても素敵な方で安心いたしました。」
と、百合のように静かな微笑みを返してくれました。

H美との会話がはずみ、私は気づくと1時間ほど車を走らせていました。
外は、夏の日差しが新緑を照らす、郊外へと様相を変えていました。
けして新しくはないものの、静かで落ち着くことのできるホテルが軒を連ねているのが、郊外の良さです。
H美は外の景色を楽しみつつ、どこかでこの先にあることを見つめているようでもありました。
「あの辺りにしましょう」
「はい」
私は、以前に利用したことのある、女性を招いても恥ずかしくないようなリゾート風ホテルへ車を滑り込ませました。

Written by 緑川 愛子

11月 13th, 2013 at 4:43 pm

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